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ギモン解決!無線LANミニ知識・基礎編

ギモン解決!無線LANミニ知識

「入門編」に引き続き、より深く詳細な回答をご用意した「基礎編」です。

無線LANがどんなものか、「入門編」である程度把握された方なら、この「基礎編」を読むことで「無線LANに詳しい人!」と呼ばれるようになる!・・・かもしれません。

専門書ほど詳しくありませんが、専門書よりはわかりやすい、「無線LANミニ知識・基礎編」はじまりです!

Q:必ず出てくる「IEEE802.11b云々」って何?何の呪文?

A:無線LANの規格の名前です。その内訳は・・・
「標準化団体の名前」+「委員会名」+「作業部会名」+「タスクグループ名」!

もっと知りたい
「標準化団体の名前」+「委員会名」+「作業部会名」+「タスクグループ名」

この「IEEE・・・」を見ただけで拒絶反応が起きる人も多いはず・・・!
その意味について詳しく解説してみましょう。
無線LAN規格の代表格「IEEE802.11b」を例にとると・・・

「IEEE」は世界中に会員を持つ、米国発祥・世界最大級の「規格標準化団体」の学会名

読み方は「アイ・トリプル・イー」
正式名称は「The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.」
明確に決められた日本語名称は特になく、報道などで「米国電気電子学会(IEEE)」などと言われることが多いようです。

簡単に言えば
「通信・電子・情報工学などの分野で、優秀な技術やルールを吟味して、基本・標準の仕様として発表しよう!」としている団体。
「IEEE」で決められた規格は、最終的に「ISO(国際標準化機構)」で審議され、国際標準として認定されます。

「国際標準」に認定されたからといって「この規格に従って製品を作らなければいけない」なんて事はないのですが、特定の商品が「IEEE」の規格にのっとって世界中で大量に販売されている(されようとしている)場合、互換性を持たせておいた方が商品の利便性や普及の容易さなど、様々な面で有利なため、日本でも準拠製品がこぞって製造・販売されるのです。
そのもっとも身近な例が、無線規格であるこの「IEEE802.11」シリーズ。

「802」は学会内の「委員会」の番号(名称)

「802番目の委員会」というわけではなく、「LAN」に関する標準規格を作成すべく1980年2月に活動を始めたので「802委員会」なんだとか。

「11」は委員会内の「作業部会(小委員会、ワーキンググループ)」の番号)

委員会内で設立順に振られた番号であり、「802委員会内の11番目の作業部会」ということ。
「ワーキンググループ」を略して「WG11」と呼ばれる場合もあります。
「無線LAN」に関する規格の標準化検討のためのグループ」です。
余談ですが、その他の例では、「802.16」は、数年前から広まっている「WiMAX(広域無線アクセス)」だったり、「802.13」は「13」が「不吉」とのことで未使用だったりもします。

「b」は作業部会内の「タスクグループ」を示すアルファベット

「タスクグループ」は「ある目的を達成するための集団」とでも言うべきもので、適当な日本語訳がありません。
感覚的には「チーム」とか、単に「グループ」と言い換えると、多少しっくりくるかも。
グループのアルファベット部分は、上位の「作業部会」に承認された順に「a」から振り分けられており、作業部会「11」の中で2番目に承認されたので「タスクグループb」。略して「TGb」と呼ばれる場合もあります。
なお、時折更新が必要な技術案件のため、「未完了」の意味で小文字の「b」をあてがっています。

※完了し、大文字をあてがった規格で「IEEE802.11F」というものや、規格化を断念した「IEEE802.11T」などがあります。
ちなみに「z」の次からは「aa」「ab」「ac」・・・の順に割り振られます。最近の無線LAN新規格が「11ac」なのはそのため

「タスクグループb」は作業部会「11」が策定した基本的無線LAN規格を「高速化」することを目的としました

つまり!無線規格「IEEE802.11b」とは・・・
「米国電気電子学会」「802委員会」傘下「11番作業部会」「タスクグループb」で策定された規格

《国際的標準化団体→LAN関係委員会→無線LAN関係作業部会→高速化目的集団》
という意味をもっているのです!

たたむ

Q:11a/b/g/n/acって何?それぞれ何がどう違うの?

A:5Ghz帯を使った「11a」、2.4Ghz帯を使った「11b」、「11b」の改良版「11g」、「11a/b/g」を高速化する「11n」、「11b/g/n」を見切り、「11a/n」をさらに高速化した「11ac」その特徴は・・・一言では語りつくせません・・・

もっと知りたい
「b」「g」「a」「n」「ac」の順に性能が良くなる

よく目にする無線LANの種類として、11「a」「b」「g」「n」「ac」の5種類があります。
その名前が持つ意味は「Q1」でご説明したとおり。

ところが、無線ルータには「11b/g」「11a/b/g」「11b/g/n」「11a/b/g/n/ac」などなど、組み合わせ多数・・・

なんでこんなことになるのか?なんで「11nのみ」とか「11a/gのみ」といった製品がないのか?

それを理解するには、それぞれの規格の「名前の意味」ではなく、「特徴」と「歴史」を把握する必要があるでしょう。
もし興味が無い場合は、【「b」「g」「a」「n」「ac」の順に性能が良い】といった程度の把握に留めるのが賢明です。
・・・その性能を「どんな状況でも必ず発揮するわけではない」というのが少々厄介なのですが・・・。

興味を持っていただけたなら、引き続き以降の「Q」をご覧ください。

たたむ

Q:11aって何?割と昔からちょこちょこ聞いたけど。

A:基本の規格「IEEE802.11」から離れ、高速化を目指したのが「11a」です。

もっと知りたい
「11a」は当時の最新技術を用いて検討され、「54Mbps」の高速化を実現

無線LANの基本の規格として「11番作業部会」が「IEEE802.11」規格を策定しましたが、「11」は理論値最大速度でも「2Mbps」、実効速度はさらに低く、基礎としては重要でしたが、実用面では問題がありました。
そこでより高速な規格を目指したのが「11a」と「11b」です
「11b」が「11」との互換性を持たせた規格を検討するのに対し、「11a」は「11」にこだわらず、当時の最新技術を用いて検討され、「54Mbps」の高速化を実現。
1999年に晴れて策定されました。

ところが、
同時期に策定された「11b」は、対応製品として100ドルを切る低価格製品が策定前後から登場したため、一気に普及
「11a」は欧州向仕様の追加
※(この「仕様」は、実は「IEEE802.11h」として検討されていました)を策定するのに時間がかかり、製品化は規格策定から数年かかる始末。おかげで「無線LANは11b」と言われるほど、普及率に差がついてしまいました
なお、数年前からようやく「11a対応製品」も増え始め、「11b/gのみ対応」の製品との価格差も縮まっています。

よって「昔からちょこちょこ聞いたなぁ」という印象は間違いではないのです。「11b」とは同期の桜。比較的古い規格なので

以下、「11a」の特徴です。

  1. 基本の規格との互換性にこだわらなかったため、伝送速度が比較的速い
    理論値最大「54Mbps」です。
  2. 使用周波数帯が広いので、近所の無線LANと干渉する可能性が低い
    5GHz帯は、約380MHzの範囲に(現在は)19チャンネル("チャネル"ともいいます)を確保可能。
    近所で「11a」無線規格を使用していてもまず混信しません。
  3. 使用周波数を使う電気製品がほぼないので、他製品の電波と干渉しづらい
    個人所有可能な製品では、アマチュア無線くらい。ただし、気象レーダーなどと干渉することはあります。その際の動作条件がやや厳しく、11aの弱点ともなっています。詳しく知りたい方は「番外編」をご覧ください。
  4. 使用周波数がやや高いため、壁・扉など遮蔽物にやや弱い
    周波数は高いほど遮蔽物に弱いのです。
  5. 普及するのが遅かったので、少し前の製品では対応機器が少なく、値段もやや高め
    価格については改善傾向にあります。

以上のことから「11a」規格は
《そこそこ高速を希望し、混信しやすい集合住宅や、その近隣に住まいがある場合、最適》
と言えました。

たたむ

Q:11bって何?どんな特徴が?

A:基本の規格「IEEE802.11」と互換性をもちつつ、高速化を目指したのが「11b」です。

もっと知りたい
対応機器が多く、価格も低い

無線LAN規格の古株、かつ代表格と言えば「11b」
基本の規格「IEEE802.11」を高速化しようとした、いわば「11のパワーアップ版」
今でこそ大した伝送速度に感じない「理論値最大速度11Mbps」ですが、規格策定当時は決して「遅い」と言うほどのものではありませんでした。「WindowsXP」すらない時代、「この速度で十分」という判断は無理からぬことだったのです。

「11b」は、低価格機器登場のおかげで急速に広まりましたが、問題もありました。
「11」から引き継いだ使用周波数「2.4GHz帯」は、一般家電や「Bluetooth」なども使用しており電波干渉による速度低下を起こしやすかったのです。理論値最大11Mbpsでも、実効速度は普通その5割程度。そこに干渉も起きるとなれば、速度はさらに落ちてしまいます。パソコンやインターネット回線の高速化もあり、「11b=低速」の評価が広がっていきました。

なお、「11b」普及の経緯については、前の「Q」の「11a」の項を併せてご覧ください。

以下、「11b」の特徴です。

  1. 早い時期から普及したため、対応機器が多く、おかげで価格も低め
  2. 使用周波数帯が低いため、壁・扉など遮蔽物にやや強い
    周波数は低いほど、遮蔽物を透過しやすくなります。
  3. 基本規格と互換性を持たせたため、伝送速度は、今やそれ程速くない
    理論値最大11Mbps
  4. 使用周波数帯帯が狭いので、他の無線LAN機器と電波干渉が起こりやすい
    2.4GHz帯、約100MHzの範囲に4チャンネルしか確保できないため、近所の「11b」がすでに4つ以上あれば遅延は不可避。
    この制限については「11g」が主流になり始めた頃になると、問題視されるようになります。
  5. 使用周波数帯が、他の製品も自由に使える周波数帯のため、他製品の電波との干渉も起こりやすい
    「電子レンジ」「コードレス電話」「Bluetooth」など、同時使用で干渉する製品多数。

そして、低速が際立つ「11b」を高速化すべく「11g」が策定され、無線LANは2003年頃より、「11b/g」の時代へと突入していきます。

たたむ

Q:11gって何?なんでいつも「11b/g」って表記なの?

A:「11b」と互換性を残したまま、高速化を目指したのが「11g」です。
「11g」は「11b」とも接続できるので、「11g対応」機器は「11b/g対応」と表記されます。

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「11b」と互換性がありながら、「11g」製品同士なら伝送速度は「54Mbps」と速い

遅いと評され始めた「11b」を高速化したものが「11g」です。

2003年に策定され、速度は「11a」と同等の理論値最大「54Mbps」
しかも「11b」の機器も使用できる互換性があったため、「11b」機器を持つ人が、ゆくゆくの速度アップを狙いつつ移行するには最適でした。結果「11b」利用者をそのまま引き継ぐ形で「11g」は浸透。手ごろな値段の無線LAN機器は、ほぼ「11b/g」が主流となり、一世を風靡したのでした。

ところが、この広がりが仇となります。
そもそも「2.4GHz帯」で干渉せずに使える周波数チャンネルは「11b」では4つ、「11g」では3つに減少。すなわち、近所に電波が届く無線LANルータが3台あり、それぞれが「干渉しない3つのチャンネル」を使用している場合、4台目となる自分のルータは「3台の無線ルータのどれかの電波と『必ず』干渉する」のです。また、高速化のための技術が「チャンネルを占有」することで成し得ていたため、その影響は大きなものでした。
※「11b」では、ある程度電波チャンネルを分け合って使うような仕組みで、その結果最大速度も低速でした。

2000年代前半、近所の無線LANルータから届く電波は「1台あるかないか」でしたが、「11b/g」の普及に伴い検知する電波は増加。特にアパート、マンションなどの集合住宅や、その近隣ではその傾向が顕著で、干渉によって「54Mbpsどころか1Mbpsすら出ない」「切断されてしまう」などの不運に見舞われるケースも散見されるようになっていきます。

期待を持って迎えられ、「高速化」でそれなりに評価された「11b/g」は、普及すればするほど、じわじわと人気を落としていくことになりました。
それを受け、俄然注目を浴び始めたのが、雌伏の時を過ごした「11a」です。
対応製品が低価格というわけではありませんでしたが、占有して利用できる電波チャンネルは、法改正のおかげで、策定当初の「4チャンネル」から「19チャンネル」へと増大(2007年)。「11b/g」のような「近所の無線LANと干渉」などはほぼ起きません。しかも「5GHz帯」を使用していることから、個人所有で電波を発する他製品との干渉もほとんど無し。
「11b/g」に追加された形の「11a/b/g」対応製品は徐々に増え、対応製品は低価格の方向へと向き始めたのでした。

以下、「11g」の特徴です。

  1. 「11b」と互換性がありながら、「11g」製品同士なら伝送速度は「54Mbps」と、比較的速い
  2. 「11b」と互換性があるので、「11g」のルータには「11b」の機器もつながる
    ただし、「11b」と「11g」の機器が混在した場合「11g」側の速度は下がります。
  3. 「11b」と互換性があるので、対応製品が多く、価格も低め
  4. 「11b」と同じ周波数帯のため、壁・扉など遮蔽物にやや強い
  5. 「11b」と同じ周波数帯のため、近隣の無線LANルータなどと電波干渉が起こりやすい
  6. 「11b」と同じ周波数帯のため、やはり「2.4GHz帯」を使用する他製品の電波との干渉が起こりやすい

以上のことから「11b/g」規格は
《そこそこ高速化を希望し、一軒家などで近隣の電波が入ってきにくい状況で、低価格で環境を構築するのに最適》と言えるでしょう。
※しかし今やスマートフォンなども無線LANを搭載するほど普及しているため、「電波が入ってきにくい状況」になること自体が難しくなりつつあります。

「11a」も「11b/g」も、「54Mbps」の伝送速度は魅力的でした。しかしそれは理論値であり、実行速度はその半分前後、環境が悪ければそれ以下です。光回線普及もあり無線LAN高速化の声は再び高まっていきました。

たたむ

Q:11nって何?「11nのみ対応」って製品を見ないけど?

A:「11a」と「11b/g」を高速化をする「仕組み」そのものが「11n」という規格です。
そのため「11nのみ」製品は無く、「11a/n」「11b/g/n」「2.4GHz帯使用11n」などと併記されます。

もっと知りたい
「11n」は「11a」と「11b/g」を高速化をする「仕組み」そのもの

基本「理論値速度>実行速度」となる無線LAN規格では、「理論値最大54Mbps製品でも遅い!」という不満がくすぶります。
それを払拭するかのように、2009年に策定されたのが「理論値最大600Mbps」の高速化技術「11n」でした。

「11n」がこれまでの「11a」や「11b/g」と大きく異なるのが、「独自の周波数帯を持たない規格」ということ。
「11a」の「5GHz帯」、もしくは「11b/g」の「2.4GHz帯」を使用しつつ、「それらを高速化する技術の規格」です。
そのため「対応」を示す記載では、「11a/n」や「11b/g/n」、両対応の場合「11a/b/g/n」などと、過去の規格と併記されることになります。
※時折「11a」や「11b/g」部分を周波数帯に読み替えて「11a/n」を「5GHz帯11n」、「11b/g/n」を「2.4GHz帯11n」などと、記載されている場合があります。 ※また、「11a」「11g」共通の技術を踏まえた上で「11n」で高速化していることから、「11b/n対応」と記載される製品は存在しません。つまり「11b/g/n対応」製品は「11b」「11g」「11g/n」の3種類のいずれかで通信可能、という意味になります。ちなみに、「11a/nのみ」という製品もほぼ見ませんが、これは単に需要が無いため。

「11n」には以下の2大技術が盛り込まれ、高速化を実現しました。

周波数チャンネルをまとめて使って高速化。「チャンネルボンディング」

「11a(5GHz帯)」であれ「11b/g(2.4GHz帯)」であれ、基本的には「約20Mhz」の範囲を1チャンネルとして使用しています。これを連続した2チャンネル分「約40MHz」で一まとまりにして通信することで、送受信可能なデータ量を倍加しました。機器によっては「倍速モード」などと表現される場合も。
ただしこれは「最大チャンネル数の限界」をさらに圧迫していることにもなっています。「11a(5GHz帯)」19チャンネルは「11a/n」では「9チャンネル」と半減。「11b/g(2.4GHz帯)」で「干渉しあわないのは3チャンネルまで」だったのが、とうとう「11g/n」で「2チャンネルだけ」となってしまいました。

アンテナ増やして高速化。「MIMO(multiple-input and multiple-output)」

非常に単純に言えば、「アンテナを増やして、その分データを分割しつつ同時に送受信すれば、速度は倍になる」という理屈です。11nでは最大4本までのアンテナを利用可能としています。もっとも、その最高速通信をするためには親機子機両方に同数のアンテナが必要です。
※「アンテナ本数=分割したデータの流れの数」ということで、技術的にはアンテナ1本の場合が「1ストリーム」、2本の場合が「2ストリーム」などと呼ばれることがあります。また通信の瞬間の「送信側」と「受信側」のアンテナ関係を表現して、アンテナ1本の場合を「1×1」、4本の場合はを「4×4」という表現がされることもあります。

以上、2点の技術を表にまとめると、「理論値最大速度」はその組み合わせによって以下のようになります。以下の表に照らして「11n対応無線LANルータ」製品の「理論値最大速度」を見ると、その製品の「付属(内蔵含む)アンンテナ本数」と、「チャンネルボンディングの有無」がわかります。「11n対応最大450Mbps」のルータは、「アンテナ3本+チャンネルポンディング有」と言うことです。

MIMO チャンネルボンディング無(20MHz) チャンネルボンディング有(40MHz)
アンテナ1本のみ 72.2Mbps 150Mbps
アンテナ2本 144.4Mbps 300Mbps
アンテナ3本 216.8Mbps 450Mbps
アンテナ4本 288.9Mbps 600Mbps

※「アンネナ1本」「チャンネルボンディング無」であっても、その他の「11n」規格の技術によって、「11a」や「11g」の「54Mbps」から「72.2Mbps」へ理論値最大速度が向上しています。
※「ビームフォーディング(電波に指向性を持たせて電波範囲を特定方向に長距離化)」など、説明を割愛させていただいた技術も多々ありますので、あらかじめご了承ください。

最近の「11n対応」無線LAN製品のほとんどは「チャンネルボンディング」に対応しています。ただし、「MIMO」については物理的に「アンテナ+機能」が必要であり、かつ相手も持っている必要があるため、最大となる「アンテナ4本(4ストリーム)」対応の製品は対応機器が少なく、高額になりがちです。
よって「11n」の理論値最大速度は「600Mbps」でも、製品としては最大値「300Mbps」や「450Mbps」が主流となっています。

なお、高速化を果たした11nですが、「11a」「11b/g」と同じ周波数を使う関係上、特徴も「11a/n」は「11a」、「11b/g/n」は「11b/g」とほぼ同じメリット・デメリットを持ちます。つまり

  • 「11a/n」は「(11aの)対応製品が少ない」「値段が高め」「電波干渉しづらい」など。
  • 「11b/g/n」では「比較的安価」「電波干渉しやすい(正確には「チャンネル減少」によりさらに干渉しやすい)」など。

もっとも、環境が悪くなければ、過去の規格よりも高速には間違いなく、11nの機能(速度)は大抵の無線LAN製品が対応する「スタンダード」になりました。

しかし、速度向上への追求は終わりません
冗談のような理論値最大速度、「6.9Gbps(≒6900Mbps)」を謳う最新規格「11ac」の登場です。

たたむ

Q:11acって何?最近よく見るけど?

A:2014年1月に正式制定されたばかりの最新規格。「11a/nの強化版」です。

もっと知りたい
2014年1月に正式制定されたばかりの「11a/nの強化版」

理論値最大では「11n」の「11倍以上」という「6.9Gbps」の超高速規格が、「2014年1月」に正式策定されたばかりの「11ac」です。
「11n」と同様、「高速化するための仕組み」の規格であり、出来立てホヤホヤといったこともあって、今後の展開次第でメリットが増えるのか、デメリットが増えるのか、まだまだ未知数の部分があります。

「2014年1月に策定?だいぶ前から11acの商品は見たけど・・・」と思われた方。
1月以前の製品は「11ac Draft」準拠製品、つまり「草案」を元にした製品となります
「Draft」については次の「Q」をご覧ください。

大きな特徴として「2.4GHz帯を使っていない(=5Ghz帯のみ使用)」ということがあげられます。
基本規格「802.11」時代より使用されていた「2.4GHz帯」は、「11n(11b/g/n)」で干渉しないチャンネルが「2チャンネル」しか確保できませんでしたが、「11ac」での最高速では、とうとう1チャンネルさえも確保できなくなったのです。もはや実用に耐えず、「11ac」では、「2.4GHz帯」と決別することになりました

「11ac」では、以下のような技術を採用し、「11n」を超える高速化を実現しています。

周波数チャンネルを、もっとまとめて高速化。「チャンネルボンディング強化」

「11n」では「2チャンネル分(40MHz)をまとめて使って高速化」していましたが、「11ac」では「4チャンネル分(80MHz)」「8チャンネル分(160MHz)」をまとめて使って高速化できるよう、仕様に盛り込まれました。これによって単純に言えば「11n」の最大2倍、ないし4倍の速度を可能としています。
ただし、「8チャンネル分(160MHz)」のチャンネルボンディングは「11n」でも触れた「最大チャンネル数の限界」の問題に再び直面します。「11a」で「19チャンネル」、「11a/n」で「9チャンネル」が干渉せず利用できたものが、「8チャンネル分(160MHz)」もの幅を使用するとなると、わずか「2チャンネル」しか確保できません。「11a」「11a/n」の利用者が少ないうちは使用できるかもしれませんが、普及が進めばいずれ干渉は必至で、最高速のでる「160MHz幅での通信」はあまり実用的ではないと言わざる得ない状況です。
※干渉を避けるような仕組みもありますが、チャンネルの空きが無いなら160MHz幅を減らさざる得ず、速度を犠牲にします。

アンンテナを、もっと増やして高速化。「MIMO強化」

「11n」の「MIMO」では、アンテナ最大数は「4本」まででしたが、これを「11ac」では「8本」まで使用可能になりました。
これによって単純には「11n」の最大2倍の速度を実現しています。

「11n」の時と同様に、「チャンネルボンディング」と「MIMO」の関係を表にすると、以下のようになります。

チャンネルボンディング
MIMO 2ch分(40MHz) 4ch分(80MHz) 8ch分(160MHz)
アンテナ1本のみ 200Mbps 433.3Mbps 866.7Mbps
アンテナ2本 400Mbps 866.7Mbps 1733.3Mbps
アンテナ3本 600Mbps 1300Mbps 2340Mbps
アンテナ4本 800Mbps 1733Mbps 3466.7Mbps
アンテナ8本 1600Mbps 3466.7Mbps 6933.3Mbps
(=6.9Gbps:理論値最大)

※「アンネナ1本」「40MHz使用」であっても、その他の「11ac」規格の技術によって、「11n」の時の「150Mbps」から「200Mbps」へ理論値最大速度が向上しています。また、一応「チャンネルボンディング無し(1ch:20MHz使用)」での接続も可能です。

製造コストやニーズ、法整備の遅れなどから、2014年3月現在「11ac対応機器」は、「アンテナ1〜3本」「80MHz使用」の理論値最大「433.3Mbps〜1.3Gbps」が主流です。今後じわじわとより高速な機器が主流になるかもしれません。

その他の技術「MU-MIMO(Multi User MIMO)」「変調方式効率化(64QAM→256QAM)」「フレームサイズの拡大」・・・

「11ac」では、その他にも様々な技術が仕様として盛り込まれ、高速化・安定化に寄与しています。
上述の3点のみ、それぞれざっくりと説明すると・・・

  1. MU-MIMO:親機でアンンテナ本数が余った場合、別の子機にアンテナを振り分け同時通信可能(効率化・安定化)
  2. 変調方式効率化:通信時に一度に処理できるデータを増加(高速化)
  3. フレームサイズの拡大:通信時に一度に送信できるデータを増加(高速化)

技術的にはもっと複雑な理屈や効果があります。また「11n」の際にあった「ビームフォーディング」などの技術も継承されていますが、とても難解なため詳細は割愛させていただきました。
なんとなく「色々あるんだ」と思っていただければ良いかと思います。

「超高速化」を成し得た「11ac」は、2014年3月現在、策定された無線規格の頂点ですが、高速化を望むと電波チャンネルを多く使用することから、「2.4GHz帯との決別」の理由にもなった「最大チャンネル数の限界」の問題がじわじわと浮上してくる可能性があります。
ただ、「11acのみ対応」という製品はまず無く、「11a/b/g/n/ac対応」がほとんどです。また「11b/g/n」と「11a/n/ac」を同時に利用できる製品も多数あります。普及することで価格が下がってくれば、「11ac対応製品を避け、11a/b/g/nのみ対応の製品を購入する」という選択は必要なくなるでしょう。
予算的にどうしても許されないのであれば「11b/g/n」や「11a/b/g/n」製品を。予算に余裕があったり、現在無線LAN機器を持っておらず、環境を「0」から構築するのであれば、できるだけ「11a/b/g/n/ac対応製品」を用意することをオススメします。

たたむ

Q:「Draft」って何?「11ac Draft準拠」とか書くのを見るけど?

A:「Draft」は「草案」の意味。草案の段階で「正式化すること間違いなし!」と思われる技術を使って製品化した場合には、「〜Draft準拠」などと記載されます。

もっと知りたい
有望かつ利便性の高い技術については「Draft準拠」と銘打って販売

「IEEE802.11」シリーズにおいて、その進捗状況は「草案(=Draft)」などの形で公開されています。 例えば「IEEE802.11ac Draft 1.0」や「IEEE802.11ac Draft 2.0」といった具合にです。

その草案の中で中核を成す高速化などの技術は、基本的にはそのまま正式化される可能性が高い。 また権利などがあるわけではないので、「草案段階の技術を使っちゃいかん!」なんてルールもありません。

よって、各メーカーは有望かつ利便性の高い技術については、正式化する前に製品化してしまい、「Draft準拠」と銘打って販売するのです。これは最近の「11ac」だけではなく、「11n」正式策定前などの時期にも広く見られました。

ちなみに、近い表現として「〜技術」「〜規格」「〜テクノロジー」などという言い方もあります。「11n」を例にすると「11nの正式化前に、その技術だけ使いました」というときに「11n技術」「11n規格」「11nテクノロジー」と表記されました。

では「11ac Draft準拠製品」や「11ac技術使用製品」は、「11ac正式策定」後、そのまま「11ac準拠製品」として利用できるものなのでしょうか?
答えは「製品による」です。

「11n Draft製品」の時には「そのまま使える(11n準拠と同等)」といった製品もあれば、「ファームウェアアップデートで正式11n準拠になる」というもの、果ては「11n準拠製品と無償交換」したり「11n正式版には準拠しません、あしからず」と開き直ったケースなど、様々なパターンがありました。

「11ac Draft準拠製品」については、多くのメーカーが「そのまま11ac準拠製品として使用可能」と公表しているようですが、「すべての製品」「すべてのメーカー」と言うわけではないようです。

「11ac」は2014年1月に正式化されましたので、今後「Draft準拠製品を購入する場合」、または「Draft準拠製品をすでに持っている場合」は、提供元メーカーのHPなどを確認し、「11ac準拠製品」と異なる点があるのかどうか、また異なる場合どのような対応になっているのかを、確認するようご注意ください。

たたむ

Q:「Wi-Fi」って何?「IEEE802.11ac」とかの無線規格と、どう違うの?

A:「Wi-Fi」とは、 【「IEEE802.11」シリーズの規格で、同じ規格間であれば相互に接続が可能な製品であると「Wi-Fi Alliance」という団体が認定した】ことを示す「ブランド名」のようなもの。ざっくり捉えて「無線LAN通信」の意味でも使用されます。

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「Wi-Fi」とは「無線LAN通信」の意味

「IEEE802.11b」や「11g」といった無線規格がありますが、ある製品で提供メーカーが「この製品はIEEE802.11b規格に準拠している!」と公言したところで、誰かがチェックしなければ真偽はわかりません

そのチェック団体が「Wi-Fi Alliance(ワイファイ・アライアンス:Wireless Fidelity Alliance)」です。

「Wi-Fi Alliance」は、「11b製品」には「11b」の、「11g製品」には「11g」のチェック試験を用意しており、それをパスした商品には「この製品は、「802.11」シリーズの同じ規格を使う、別のWi-Fi認定製品とは、問題なくつながりますよ」という意味で、「Wi-Fi Alliance」の登録商標である、「Wi-Fi CERTIFIED(ワイファイ・サーティファイド)ロゴ」の使用許可が与えられます。
よく製品パッケージなどにプリントされている「Wi-Fi」と言う文字を含むロゴが、この「「Wi-Fi CERTIFIEDロゴ」です

「Wi-Fi Alliance」が認定活動を始める前までは、「IEEE802.11」規格の「曖昧な部分」を各メーカーが独自で解釈し、製品を開発していたため、「同じ11bの機器同士なのに、メーカーが違うと接続できない!」といった相互接続不可の問題が頻発したそうです。そこで当時の各メーカー数社が「Wi-Fi Alliance(正確にはその前身である「WECA」)」を設立、相互接続を約束する仕組みを構築したのでした。今や参画企業は500社を超えるとか。

もっとも、ただの「認定機関」なので、「そんなの関係ない!」とばかりに、認定を受けない製品も製造・販売可能です。
ただ世界規模の認定団体の「相互接続の約束」がない商品を欲しがる人はまずいません。
現状日本国内販売の「個人向け無線LAN機器」は、ほぼ「Wi-Fi認定」を受けており、未認定の機器を探す方が難しいのです。

※2000年代前半頃発売の無線LAN機器では「Wi-Fiロゴ」が無い場合やWi-Fi未認定の場合があります。これは「Wi-Fiロゴ」自体が2002年頃に作られたこと、および「Wi-Fi認定」の認知度が低かったことが原因です。

※また、一部製品では、「Wi-Fi認定」は受けたものの、「『802.11』の正式規格には準拠していない(Draftにのみ準拠)」といった、「Wi-Fiロゴはあるけど『11ac技術』」といった変則的なものもあります。

このため「Wi-Fi」は「Wi-Fi Allianceが相互接続可能と認定した、『11シリーズ』の無線LAN通信」という意味を持ち、「Wi-Fi対応」「Wi-Fi接続」「Wi-Fiを利用する」などという使われ方をします。すなわち

  • 「Wi-Fi対応」=「Wi-Fi Allianceが相互接続可能と認定した、『11シリーズ』の無線LAN通信に対応」
  • 「Wi-Fi接続」=「Wi-Fi Allianceが相互接続可能と認定した、『11シリーズ』の無線LAN通信での接続」
  • 「Wi-Fiを利用する」=「Wi-Fi Allianceが相互接続可能と認定した、『11シリーズ』の無線LAN通信を利用する」

ということです。

・・・わかりにくいので、単に「Wi-Fi」=「無線LAN通信」と読み替えてしまうと、把握しやすいでしょう。
個人で利用する「無線LAN通信」のほとんどは「Wi-Fi認定」を受けた機器で発信されているものばかりなので、「相互接続を認定した云々」は省いて解釈してしまっても大きな違いにならないのです。

たたむ

Q:暗号化って何?「WEP」とか「WPA」とか「AES」とかあるけど?

A:他人に無線LAN通信を勝手に使わせたり、通信データを盗まれないようにするために施す設定です。個人でよく利用するのは5種類ありますが、強弱で並べると
「WEP < WPA-PSK(TKIP) ≒ WPA2-PSK(TKIP) < WPA-PSK(AES) ≒ WPA2-PSK(AES)」
できるだけ「AES」の文字が記載された暗号化を使い、「WEP」は可能な限り使用を控えましょう。

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他人に無線LAN通信を勝手に使わせたり通信データを盗まれないようにする

無線LAN通信は親機(無線LANルータ)の電波が届く範囲で利用可能であるため、なんら対策を施さないと、他人が勝手に使うことも出来てしまいます。そこを通じて通信データを盗み見されたり、改ざん、破壊されたり、果ては他のPCやデータベースに進入する「踏み台」にされたりしないとも限りません。 ※セキュリティ対策を施さずに「踏み台」にされた場合、「管理不行き届き」として、「全て」ではないにしても、何がしかの責任を問われたり、「踏み台にされた(自分が実行犯ではない)」ことを証明する手間ひまで、相当な損害を被る可能性があります。

なんらセキュリティ対策をせずに無線LNA環境を作ったり、使用を始めたりすることは「問題外」なのです。
ということで、無線LANにおけるもっとも基本的なセキュリティ対策が、無線LAN通信の「暗号化」です。
通信そのものを文字通り「暗号」にすることで、通信データを盗み見されたり、通信を無断で利用されたりするのを防ぎます。

暗号化には以下のような種類があります。
なお、親機子機共に対応していなければ利用できませんので、ご注意を。

WEP (Wired Equivalent Privacy)

無線LAN通信の暗号化におけるもっとも古い規格です。 比較的性能の低い機器でも利用可能であったため、無線LAN登場初期より、暗号化のスタンダードでした。

しかし、この「暗号」の解読方法が確立し、解読ソフトでものの数分、現在では数秒で突破されるほどになってしまったことで、一気に廃れることになります。「WEP」は今や「無いよりマシ」程度のセキュリティ能力しか持っていません。もしご自宅の無線LANルータが「WEP」にしか対応していない古い物なら、出来るだけ早く買い替えることをオススメします。

なお、他の「WEPしか利用できない機器」を有効活用するために、無線LANルータの中には「WEPとそれ以外の暗号化キーの同時利用が可能」となっている製品もあります。購入の際に、よく確認してみてください。

WPA-PSK (Wi-Fi Protected Access - Pre-Shared Key)

暗号化の意味を成さなくなった「WEP」に取って代わるための、より強固な暗号化規格が「WPA-PSK」と呼ばれるものです。「WPAパーソナル」とも呼ばれ、省略されて単に「WPA」と呼ぶこともあります。
「WPA-PSK」は、一刻も早く「WEP」の使用を避けたいニーズを反映して利用され始めましたが、実際にはその完成形「WPA2」へのいわば「つなぎ」の規格でもありました。

※後述する「WPA2」規格は「802.11用セキュリティ」として、「IEEE802.11i」で策定されました。その中途段階(Draft3)の仕様を、「Wi-Fi Alliance(ワイファイ・アライアンス)」が「WPA」として認証を開始。各機器で利用されるようになったのです。つまり実はWPAとは「IEEE802.11i Draft規格」ともいえます。
・・・何のことか意味がわからない場合は、ここまでのQAを再度ご覧いただくか、読み飛ばして先に進みましょう。

「WPA-PSK」には、その中核を成す「暗号化方式」によって、さらに2種類に分かれています。

「WPA-PSK(TKIP)」

「TKIP」とは「Temporal Key Integrity Protocol」の略で、「WPA-PSK」認定を受けるためにはその機能を持つことが義務化されている暗号化方式です。「WEP」の暗号化をより「解読しにくいもの」に強化したものですが、「11n」の規格で対応していないことから、通信速度が最大でも「54Mbps」までに制限されます。また現在では解読方法があるため、オススメできません

「WPA-PSK(AES)」

「AES」は「Advanced Encryption Standard」の略で、米軍の関連プロジェクトでも採用された優れもの。「TKIP」ではあった「通信の最大速度制限」も無く、現時点では解読方法のないもっとも強固な暗号化方式です。ただ「WPA-PSK」では「必須の暗号化機能」ではなく「オプション(使ってもいいよ?程度)」の扱いでした。また、「AES」の処理には機器の性能が「TKIP」以上に必要だったこともあって、一部の無線LAN機器には「WPA-PSK(AES)」への切り替え機能を持っていないことがあります。(「TKIP」の危険性が露呈した後は、逆に通常の設定方法では「TKIP」を選択できないようにしている機器もあったようです)

余談ですが、「AES」は「CCMP」という暗号化方式の中で採用されている「暗号化の計算方法(アルゴリズム)」の名前であって、本来は「WPA-PSK(CCMP)」と記載されるべきなのですが、なぜか「AES」の方を記述するのが一般的です。
「CCMP」は「Counter mode with Cipher-block chaining Message authentication code Protocol」の略で・・・と始めると急激に難易度が上がるため割愛いたします。
ようは「可能な限りAESを使ったほうが良い!」ということです。

なお、「WPA」には「WPAエンタープライズ」と呼ばれる規格もありますが、これは基本的に暗号用の専用サーバ(パソコン)を用意して実現する方式です。また「EAP」「EAP-TLS」「EAP-TTLS」「PEAP」「802.1X認証」といった、時折設定画面などで目にする単語も「WPAエンタープライズ」に関する用語です。個人で構築することはほとんどないため、割愛いたしました。

「WPA2-PSK」

「IEEE802.11i」の策定・標準化を受け、「WPA-PSK」の完成形として策定されたのが「WPA2-PSK」です。「WPA2パーソナル」とも呼ばれ、やはり略して「WPA2」とだけ呼ばれることも。具体的に何かが強化されたというよりも、「WPA-PSK」で「オプション」扱いだった「AES」が「必須」になったということが最大の違いです。入れ違いに「TKIP」の方が「オプション」扱いとなりました。

よって、それぞれの規格に対応した機器を比較した場合、大まかに言えば以下のようなものになります。
「WPA-PSK」対応 → 「TKIPは確実に利用できる」 「AESは製品ごとに利用可否が異なる」
「WPA2-PSK」対応 → 「AESは確実に利用できる」 「TKIPは製品ごとに利用可否が異なる」

ときおり「WPA=TKIP」「WPA2=AES」と説明されている場合がありますが、これは正確ではなく、「認定を受ける上で必須かどうか」ということでしかありません。「WPAのAES」も「WPA2のTKIP」も存在し、利用できるかどうかは「製品次第」というだけです。

では肝心の「暗号の強さ」ではどうなのか?
実は「WPA」「WPA2」では「強さ」にほぼ違いは無いようです。
「TKIPよりAESの方が強固」というだけで「WPA-PSK(AES)」と「WPA2-PSK(AES)」の暗号化の強度はほぼ同じとのこと。
Draft規格と正式規格で、理論値最大速度に大きな差がない「11ac」などの場合を考えれば、納得しやすいかと思います。
詳細な点は色々違いますが、結局「WPA2」は「AESを義務付けた」ことで「WPAよりも安全」といわれているに過ぎません。

よって製品購入の観点では「現在WPAでAESを使用しているのであれば、WPA2対応機器への乗り換えはほぼ不要」といえるでしょう。
無論お持ちの「WPA」対応機器が、解読可能な「TKIP」しか利用できないのであれば、早めの買い替えをオススメします。

※「WPA2」にも「WPA2エンタープライズ」が存在しますが、「WPA」の時と同様の理由で、割愛いたします。

以上が「暗号化」として主要な5種類であり、その強度の順に並べると、冒頭でお伝えした
「WEP < WPA-PSK(TKIP) ≒ WPA2-PSK(TKIP) < WPA-PSK(AES) ≒ WPA2-PSK(AES)」の順になります。
「WEP」のみをご利用の場合は今すぐに、「TKIP」のみを利用の場合は出来るだけ早く設定を変更しましょう。また子機が対応していない場合は、せめて親機を「WEP」「TKIP」と「AES」の同時利用可能な機器へ買い替えをご検討ください。

なお設定方法については、「WPS」「AOSS・AOSS2(バッファロー)」「らくらく無線スタート(NEC)」といった、ワンボタンの自動設定の機能が広まっています。同じ自動設定規格を親機子機が持っていれば(子機がパソコンの場合、専用ソフトを用意すれば)、設定可能な中で最高強度の暗号化を自動で構築するため、上述暗号化を意識しないで済むことも増えつつあります。

ただ、それが自分の利用環境で問題なく使用可能かどうか、機能制限などがないかどうかはお持ちの機器、購入する製品によって変わります。製品購入の際は「簡単」とのキャッチコピーだけで判断せず、メーカーHPを参照するなど、十分確認するようご注意ください。

たたむ

基礎編はようやくここで終了です。
大変なボリュームでしたが、いかがでしたか?

途中で断念された方、読むまでも無くあきらめた方も多いのではないでしょうか。
もしそうなら、せめて「無線LAN」に関する話は「深い!!」と思っていただければ幸いです。

そして最後まで読破された方。大変お疲れ様でした。
ここに記載された内容を把握しておけば、無線LAN製品の重要な部分の表記は、ほとんど解るようになったのではないでしょうか。

ただ、解説量の都合上、「周波数」や「電波干渉」についてなど、曖昧にした部分もありました。
「11b/gが3ch?家の無線LANルータは13ch設定できるぞ!!」と気づいた方や、「なんで2.4GHz帯なんか使ったのさ!最初から別の周波数を確保しておけばよかったのに!」と新たなギモンを持たれた方も、いるかもしれません。

そこで蛇足ながら、「基礎編」に続き「電波干渉」についての疑問を主体にした「無線LANミニ知識・番外編」もご用意いたしました。興味があれば、ぜひご一読ください。

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番外編へGO!!

(注意)本掲載内容は2014年3月時点での情報を基に作成しています。また、広く理解しやすい内容とするため、「例外的内容」「特殊な内容」「厳密かつ正確な記述」など、一部の情報についてはあえて要約・割愛している場合があります。あらかじめご了承ください。

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